信じることしかできなかった私に、息子が教えてくれたこと
あなたは、お子さんのことで
「この子は将来、どうなるんだろう」と
眠れなくなったことはありませんか。
私はあります。
次男は、小・中学校と不登校児でした。
息子は小学校の頃、
落ち着いてじっとしていることが苦手な子でした。
興味がないことには、まったく関心を示さない。
そして、いつの頃からか、
学校では声が出なくなりました。
家では普通に話せるのに、
授業中も、友達の前でも、一言も話せない。
授業参観でも、
周りの子たちが元気に手を挙げているのに
息子はそわそわと体を動かし始め、それでも、
声を出すことはありませんでした。
そんな姿を見て、
「どうしてうちの子は、みんなみたいにできないのだろう」
と焦る気持ちにはなりましたが、本人には何も聞けませんでした。
聞いたら、余計に追い詰めてしまう気がしたのです。
眠れない夜が続いた頃
息子は、中学に入ると、
完全に学校に行かなくなりました。
朝、起こしに行っても布団から出てこない。
毎朝の欠席連絡も、私には大きな負担でした。
行き渋る息子を説得していて
連絡が遅れたり、できなかったりすると
「きちんとしてください」と言われる。
当然のことだと分かっています。
でも、その頃の私は、それさえも重く感じていました。
「もう少し、そっとしておいてほしい」
そう思ってしまう自分にも、罪悪感がわいてしまう。
夜は眠れず、
この子は将来、やっていけるのだろうか
私の育て方が間違っていたんだろうかと
朝まで、天井を見つめる日もありました。
やがて部屋にこもり、ゲームをして過ごす日々。
このままでいいのだろうか。
この子はどうなってしまうのだろうか。
そんな風に考えこんでしまう毎日が続きました。
でもある時、部屋の中から
何か、ドタバタと音が聞こえるように。
なんと、息子は動画を見ながら、
筋トレを始めていたのです。
正直、それが
何の役に立つのかはわからなかった。
ただ、ゲーム以外の何かを
続けられているということだけが、
かすかな安心材料でした。
水を得た魚
転機は、通信制の高校に入学してからでした。
車の整備や技術に力を入れている学校で、
息子は水を得た魚のように変わりました。
小さい頃から車やバイクが大好きでしたが
それを「勉強」とは関係ないと、
私はどこかで軽く見ていたのかもしれません。
でも、高校に行くようになって毎日、
楽しそうに学校の話をするようになったのです。
あの子が、学校の話を自分からする。
それだけで、信じられないことでした。
しばらくしてから息子は、
通信制高校に通いながら
整備の仕事のアルバイトを始めました。
最初の仕事は、私が見つけてあげたもの。
でも、その仕事を辞めると決めた時、
息子は自分でスマホから求人を探し
履歴書を手書きして
一人で面接を受けに行ったのです。
そして
「大手自動車整備会社に受かった」と、
少し照れながら報告してくれた日のことを
今でも忘れられません。
緘黙症で声が出せなかったあの子が、
知らない大人の前で自分の言葉で話して
自分の居場所を自分で見つけてきた。
それは、親の私にとっても
とてつもない喜びでした。
店長さんにも気に入ってもらえたようで、
「学校を出た後、
うちの訓練センターで研修を受ければ、整備士になれるよ」
と言われたと、目を輝かせて話してくれました。
「整備士になりたい」
息子の口からはっきりと
自分の将来の目標を聞いたのは、
初めてのことでした。
信じることしかできなかった
最初から、
信じて待てていたわけではありません。
不安で、怖くて、
何をしてあげればいいかもわからなくて、
ただ、信じることしかできなかった。
それが結果的に「待つ」になっていただけでした。
でも今、思うのです。
あの「しかできなかった」が、
この子には十分だったのかもしれない、と。
勉強ができることだけが
大人になる道だと、思い込んでいたのは私のほうだった。
そう息子の姿から気づかされたのです。
先日、息子が
採用先の自動車整備会社から
整備服をもらってきました。
黒い生地に、赤いライン。
あの子がそれを着て、
嬉しそうに出かけていく後ろ姿を見た時
私の心に浮かんだ色は、その赤でした。
ただの作業服の赤ではなく、
燃えるような、やる気に満ちた赤。
暗い部屋で長い間
引きこもっていた息子が、
ようやく自分の色を見つけたんだな
と思いました。
今は、休日の朝早く
ジムに出かけていく後ろ姿を
見送ることがあります。
引きこもりの間に目覚めた筋トレが
いつの間にか日課になっていて、
かつて部屋から出てこなかった子が
朝日の中を歩いて出かけていく。
そこには、かつての息子からは想像できない
光景が広がっていました。
好きなことがある限り
自分にとって好きなことがある限り、
人はそこから歩き出せるのかもしれません。
いつも上手くいく保証は、どこにもありません。
でも、好きなことを見つけた時の、
息子の目の輝きは、本物でした。
もし今、お子さんが学校に行けなくて、
夜も眠れずに考えてしまう方がいたら。
「この子はどうなるんだろう」と、
不安で押しつぶされそうな時があるとしたら。
どうか、その子の「好きなこと」を
そっと見守っていてあげてほしいです。
きっとその子には、
その子の時間があるのだと思います。
完璧な親でなくても、
正解がわからなくても、
「この子を信じたい」
と思い続けること自体が、
もうすでに十分な愛情なのかもしれません。
あなたの、もしくは大切な人の、
夢中になるほど好きなことは、何ですか。
よかったらコメントで教えてください。
cocoiro
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cocoiroさんこんばんは。
我が家にも信じてあげる事しかできない状態の子がいます。
幸い好きなこと(イラストを描くことです)はあるので、ずっと家で描いています。
正直将来が不安になることが無いと言えばうそになりますが、出来ることは信じることだけだなあと、cocoiroさんの記事を読んで、改めて思いました。
とてもよくわかります。うちの娘も学校が苦手でした。ダンゴムシが好きで女子の友達に引かれてしまってあまり友達ができなかったのです。でも中高とダンゴムシが好きでも認めてくれる場所に行き、とても学校が好きになり、今では来なくてもいい日に大学に通っています。環境って大切ですよね。そして自分に合うところって必ずありますよね。